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第1章 弟が父親になった

琉の顔を見る度、翔は何と無く睨んでしまう。

気にする風もなく、「サンキュ」と琉は笑顔で辞書を受け取った。


「何に使うんだよ？」

今時、言葉の意味なんてちょっと携帯を弄れば出てくる。
学生でもない琉が、辞書なんて何に使うんだか……。

笑顔の琉から顔を背け、ぶっきらぼうに言い放った翔は、

「漢字の意味調べんだよ」

「……あ！」

琉の言葉に、今朝の出来事を思い出していた。