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近くて甘い
第55章 淡い恋の終わり
耳元で囁かれた言葉に、愛花は見開いていた目を細めた。



あぁ……


私は……




「彼氏も、夫も、父親も…母親も…俺が全部やってやるよ」



なんて、



幸せなんだろう………





ぎゅっと目を瞑った愛花は、そのまま浩平の背中に手を回して抱きしめ返す。





冬の日のささやかな…でも力強いその灯火───…





「ありがとう…っ」


「……………任せろって。


ずっとヘタレって訳じゃねぇんだよ、俺だって」




「ヘタレだなんて…思ってないよ…」




この腕が



この胸が



私の居場所…





「ならいいけど」




少し得意げな浩平は、愛花の頭に顎を乗せた。




静かな時間が流れる──




心地よい沈黙の中で、顔を上げながら、愛花は浩平を見つめた。





「母親も……やってくれるの…?」




「っ………そういう揚げ足を取るなって…っ」




そんなことを言いながら、浩平は照れ隠しのように強引に愛花の唇を奪っていた。


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