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近くて甘い
第13章 ヘタレの称号と神の恵み
シャンプーの残り香が、浩平の胸を締め付けた。


また…何も出来ずに…


半年前、突然真希が学校を止めたときの悪夢が頭をよぎる。



ヘタレ…
マジでヘタレ過ぎ…



はぁっと深く溜め息をついた浩平は、自宅に帰ろうと、カバンを手にした。



「はぁっ!?俺は後半3日が練習って言ったんだよ!」


「うそっ!後半がオフって言ってたって!」



騒がしく言い争う、梨子と亮を目を細めて見つめる。


ケンカしているというのに、カップルというだけでムカムカしてくるほど、浩平の心はすさんでた。


「えーじゃあ全く梨子と会えないわけ?無理ぃ…俺それマジで死ぬ…」


「バカじゃないの。そんなことで死ぬほど人間柔じゃないから!」


っ……


「うぜーから外でやれよ」


堪えきれずにそう冷たく言い放った浩平を見て、梨子と亮は溜め息をついた。
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