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近くて甘い
第15章 いざ、出発!
私って、

これから何回、光瑠さんに手首を掴まれるんだろう…。


そんなことをまさに手首を掴まれながら、思った。



もちろん、出会った時なんかに比べたら、格段に掴まれる力は優しくはなっているんだけど、どことなく乱暴なのには変わりがない。



「朝、昼、晩、必ず連絡しろっ」


「分かりましたって…」



もう5回くらい同じことを言われて引き留められ、なかなか家から出ることが出来ずにいる。


「俺が恋しくなってそれ以外の時間に電話してきても、まぁ許してやる」


「………ありがとうございます」


さすがに、朝・昼・晩三回もすれば大丈夫だと思うけど…


「あの…そろそろ出ないと友達待たせちゃうので…」


イライライライラって聞こえてきそうなほど、不機嫌オーラを漂わせている光瑠さん。


許してくれたはずなんだけどなぁ…


「光瑠様も、このままでは会社に遅れてしまいますよ?」


「だまれっ!」


怒鳴られても満面の笑みで返す古畑さんは本当に強い。


「……じゃあ行きますね。」


私も古畑さんを見習って満面の笑みでそう言ったのだが、逆に光瑠さんの手首を掴む力がぐぐぐと強まった。
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