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近くて甘い
第20章 王子の申し出
「俺が何も出来ないと思って、いい気になっているんだろうっ…」


「きゃっ…」


腕を強く掴まれて、思わず声が出てしまった。


それでも、やっぱり私は間違ってない!


だから、私は謝ることはせずに、光瑠さんを強く睨み返した。



「間違っているのは光瑠さんですっ!人の上に立つ人がそんなに横暴でいたらいけません!そんなんじゃ、誰も信頼してくれませんよっ…!」


「っ………」



何も言わなくなった光瑠さんは、ただただ私の事を鋭い目付きで見つめてくる。


本当に怒らせたら、放り出されちゃうんじゃないかって不安じゃない訳じゃないけど…


結婚するのなら、やっぱり正しい旦那さんでいてほしいし、みんなに慕われるようないい社長でいてほしいから……



「覚悟するんだな…」


「へっ?」



手首を離した光瑠さんは、不機嫌そうに、足下の書類を拾った。



「覚悟って…なんのっ…」


「───今夜の…だ…
絶対に寝かさない。それがお前への復讐法だ」


えっ…!?!?!?!?



顔を上げた光瑠さんは、書類をみながら、そう無表情で言って、乱暴に書類を拾い出した。

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