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近くて甘い
第22章 疑惑の二人
あの人一体何なんだろう…


名前も知らないけど私、何かしたのだろうか…


でも最初廊下で会った時から、もうすでに私のことを恨んでいるような顔をしていたし…。


後ろ姿を見ながらそんな事を思っていたら、エレベーターから光瑠さんが出て来たのが見えて、私は慌てて、脇の通りに入って身を隠した。



危なかった…っ



謝らなきゃいけないのは分かってはいるんだけど…




「きゃっ」


「おいっ…」



やけに甲高い声と、光瑠さんの声が聞こえてきて、私は、気になってそっと壁から顔を出して様子を見た。




「すみませんっ…ちょっと仕事で疲れていて…っ」



ああ!あの人さっき私の足踏んだ人!
なっ、なんであんなに光瑠さんの腕掴んでるのっ!?



あまりの密着ぶりに困惑する光瑠さんを目を細めて見つめた。



遠目からでも、大きな彼女の胸が、光瑠さんの腕をわざとらしく圧迫しているのが分かる。



「……気をつけろっ…」



っ…どうしてこういう時は怒鳴らないでそんな小さな声なのっ!?



「本当に申し訳ありませんでしたっ…」



わざとらしく泣きそうな声でそう言った彼女は、私の方を見て、私に気付くと、勝ち誇ったようにニヤリと笑って、光瑠さんから離れた。




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