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近くて甘い
第23章 薄情な作戦
「あんなに気を持たせておいて、私はどうかと思いますっ!」



ぶつぶつと言いながら、猫を抱えてウロウロとする真希のことを、光瑠は片眉を上げて眺めていた。


先ほど帰宅し、猫部屋にいるというから、入ったら、それはそれは不機嫌そうにしている。



「どうして男の人ってああいうスタイルがいい人にデレデレするんですかっ!?」



要の元に現れた二人のモデルの事で文句ばかり…



忙しいやつだな…



呆れ返った光瑠は近付いてきた白猫のユキにそっと手を伸ばして身体を撫でた。



「…俺に聞かれてもそんなことは───」


「………っ…自分だってデレデレしてたくせにっ…」


「……?」



小さく何もむにゃむにゃと言った真希に首を傾げるが、真希は、つんとしたまま、言い直すことはしなかった。



「……要さんは、みんなに優しい素敵な人ですけど、加奈子さんに対してはちょっと違っていたように思ったんです…!光瑠さんもそう思ったでしょっ!?」



「………さぁな」



そう適当に返事をしながらも、思っている事は光瑠も同じだった。


ただの新入社員だというのに、加奈子に対して要はとても楽しそうに笑うし、素っ頓狂な加奈子の反応を見てとても柔らかい表情を見せているように思った。


まぁ…全く趣味は分からんが…




「ちょっとっ!さぁなって何ですかっ!もっと真面目に答えてくださいっ!」



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