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近くて甘い
第24章 横顔が好きだから…
まぁまぁと落ち着かせる要は、ハンカチを差し出しながら、加奈子の隣に腰掛けた。



「あのっ…」


「すまなかった…。嘘っぽく聞こえるだろうが、君を傷付けるつもりはなかったんだ…」



風が吹いて、辺りが静かになった。


寒くはない。
初夏の爽やかな風だ。



「知らなかったですっ…あのっ…まさか真希ちゃんの事をっ…」



ふんっと切なく笑った要は片手で顔を覆った。




「最近はもう慣れたつもりだったんだが、ある事がきっかけで、箍(たが)が外れてしまってね…」



辛そうなその横顔を加奈子はジッと見つめた。


本気なんだ…


副社長は…真希ちゃんの事を…




「情けないな…」




顔を上げた要は無理に笑った。



この前は、自分を、自制することが、出来たのに、今日はどうしても、それが出来なかった…っ


加奈子が来ていなかったら…


それを考えて、要は大きくため息を尽きながら頭を抱えた。



あの驚き、苦しそうにしていた表情…

あんな顔は二度とさせたくなかったのに…




久しぶりにきた、南のイングリッシュガーデンがさらに要の胸を締め付ける。


社長のものだとしても、傍にいられるなら…

そう思っていたのに…

今になって、傍にいるのが、たまらなく苦しい…
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