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近くて甘い
第31章 if...
ついに目の前に来るその人に、私は膝をついたまま見上げた。
「カナメさ……」
え…………?
雨音が強まって…
そして、カナメさんは
私の横を
通り過ぎて行った。
どうして…?
目は…
目は合っていたはずなのにっ…
再び裏切られたような気分になった私は、
後ろを振り返る事も出来ないまま、
固まった。
これは夢だという意識と
過去の記憶が混同しているのが分かる…
あぁ…
もしも…
もしもここで、私は諦めずに要さんを追いかけていたら──…
“もしも”…