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近くて甘い
第31章 if...
「やっぱり…何か要さんの役に立つことをさせて下さいっ…」



必死の私に、要さんは優しく笑いかける…




「もう役に立ってるから…」




これでいいのだろうか…本当に…



「今日、事故に遭ってから、初めて会社に行くんだ。社長宅にも挨拶に行こうと思ってる。君のことも紹介したいから、一緒に行こう…」




会社…
紹介…



少し照れ臭いのだけれど…




「紹介って…なんて紹介するんですか?」




まだ言葉にしたことのないこの関係───




要さんは、遠くの方に目を向けたまま笑って、手探りで私を探す。



「……『僕の大切な女性(ひと)です』って…」



「………っ」



「迷惑かな?」




少し悪戯っぽく笑った彼は、私の髪に触れて、そのまま手を滑らせて、私の唇に触れる。





吸い込まれるような感覚──…



これでいいんだ──




そんなことを、思いながら、私は目をつむって要さんにキスをした。





「迷惑な訳ないです…

同じ気持ちなので…すごく嬉しい…」




2人で軽く笑うと、私と、要さんは、そのまま会社へと向かった。








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