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近くて甘い
第35章 交わらない想いと出発
「香純ならやり兼ねませんっ…
それを分かってて、私がっ…余計な事を言ったからっ…」



「田部さん…もういいから…」




罪悪感に苛まれる加奈子のことを要が慰める。



状況が理解出来ない光瑠は、未だもたつく身体をゆっくりと起こした。




「真希さんも…社長と同じように、後にはその時の記憶がありませんでした」




ハッと息を飲んだ光瑠は、狂ったように真希が求めてきた日のことを思い出した。




あの日の翌日…真希は全く覚えておらず、しきりに酒を飲ませたのだろうと責め立ててきたっ…



「電気管理システムの社員を問いただしたところ、停電したのも全て櫻井の仕業だったようです」




そして、グッと要は拳を握った。




「櫻井が…何故そんなことをする必要があるっ!」



「─────欲しかったんですよ…」



「何がだっ…」



「あなたです…」



「っ……」




思っても見なかった要の言葉に光瑠は言葉を失った。

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