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近くて甘い
第51章 最後の約束
「あ…関根さん、おはようございます」


「あぁ、おはよう」



挨拶を交わしたあと、そうだ!と驚いた顔をした酒田は、社長室を去ろうとする要を引き止める。




「関根さん、聞きました?」


「なにをだ」


「あの、関根さんに熱を上げていた田部さんが──」




加奈子の名前に何の気なしに話を聞いていた要の表情が変わる。



光瑠はそんな要の様子の変化をしっかりと捉えていた。



田部…って…



「あの…ドジ女か…?」


「ええ、それがですね!


今月付けで寿退社すると…」



「寿退社!?!?」




驚く光瑠とは裏腹、一人で床を見つめながら目を見開いた要は、何も言わずに黙っていた。





「冗談だろう…そんなはずは…」



あの女は、完全に関根に惚れていて…



ハッとした光瑠は、再び要のことをみた。




「それは…おめでたいことだ…」



いつも通りの要の微笑みに、光瑠は顔をしかめる。



まさか…


最近関根の様子がおかしいのは──…
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