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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第22章 佳織〜夫の知らない妻
「どうすればいいの、あなた・・・」

妻に見つめられ、芳彦は言葉に詰まった。

灰色の雲が広がってきた上空からは、大粒の雨が降り始めている。

「どこで間違えたんだろう・・・」

ここまでの下山道に、道が分かれるような箇所はなかったはずだ。

周囲の木々や岩に落ちる雨粒の音が、二人を追い込んでいく。

「もう引き返すことなんかできない」

「でも・・・・」

「無理にでも下りないと。半分くらいはもう下山しているはずだよ」

妻の手を取り、芳彦は道が途絶えている付近まで下りた。

その先には大小の岩が積み重なり、とても前進できるような場所ではない。

だが、その道から逸れるようにして、けものみちとでも言えそうな痕跡がある。

それは岩場ではなく、深い森の中に続いていた。

「こちらに行こう」

「大丈夫かしら・・・・」

「すぐに雷がやってくる。とにかくどこか場所を探さないと」

雨具などなかった。

芳彦は、すがりつく妻を抱え、木々の根を踏むように歩き始めた。

二人の服が濡れ、足取りが重くなっていく。

夏の日差しが嘘のように、上空は既に夜を思わせる漆黒の雲が支配していた。

「大丈夫だ、確実に下に向かっている」

芳彦が妻を励まそうと、そんな言葉を口にした時だった。

明るさを失った周囲を貫くかのように、一筋の閃光が走った。

その直後、山全体を震え上がらせるような雷鳴が轟いた。

「あなた、怖いわ・・・・」

涙を浮かべた妻が、もうあきらめてしまったかのように抱きついてくる。

「もうすぐだ、もう少しだけ頑張ろう」

だが、芳彦自身も希望を失いつつあった。

雨に濡れた全身から、急速に熱が奪われていくのがわかる。

妻の白いシャツがぐっしょりと湿り、ブラがくっきりと浮かび上がっている。

座り込んでしまいそうな妻の細い肢体を抱き抱え、芳彦は歩き続けた。

更に激しさを増す雨と雷鳴。

「駄目だ、このままじゃ・・・」

芳彦が希望を失いかけたときだった。

はるか前方の木々の隙間に、何かが見えた気がした。

濡れた顔を何度も手で拭い、芳彦はそれを見つめた。

「佳織、あそこに小屋があるぞ!」

確かにそれは、粗末な小屋らしき物体に見えた。

「あそこで雨宿りできるかもしれない。さあ、急ごう」

夫の声に、佳織は小さく、しかししっかりとうなずいた。
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