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梨華との秘密
第7章 縄肌秘書
 全てが終わり、恵理加をマンションまで送り届けた。
 別れ際に、


「あの、松川係長、これからも会って頂けますか?」


 真剣な表情で見つめる瞳が、可愛いなぁ。
 なんて、一瞬思ったが、


「うん、良いよ。ただし、早めに連絡をくれるかな?俺も結婚するんでね。」


 冷たい口調で俺が言うと、


「はい、わかってます。だから、お願いします。」


 そう言い終わると、恵理加の腕が首に絡み、プルンとした感触が唇に触れた。
 ほんの五秒ほどの時間だったが、俺には恵理加の心が痛いほどわかった。
 思いを振り切るように唇が離れ、助手席のドアが閉まった。


「うん、わかった。じゃあ、楽しみにしてるよ。」


 そう言って、俺は車をスタートさせた。
 恵理加のことを頭の中から振り捨てながら、高原朱里のホテルの近くの駐車場から連絡を入れた。


「はい、私です。終わったんですね。今から降ります。えっ、わかりました。私が行きます。」


 携帯の向こうから、誰もいないのがわかったが、なにも言わなかった。
 十分ほどで朱里が、さっきまでのとはうって変わって、明るいパステルイエローのジャケットに、ライムグリーンのタートルネックのセーター、パステルイエローのフレアなフリルのついた膝上二十センチのミニスカートにハイヒールで表れた。


「おまたせ、彼女はどうしたの?」


 車に乗るなり、朱里が聞いてきた。


「ん?あぁ、送り届けた。軽く手解きはしたがね。で、これから、どうするね?」


 車をスタートさせながら聞くと、


「悪い人ね。ふふ、良いわ。私が頼んだようなもんだものね。どこへ連れていってくれるの?」


 いたずらっぽく、彼女の目が笑っていた。


「うん、迷ってんだが?倉敷に戻ろうか。途中で着替えてもらうがな。くくくっ。」


「えっ、途中で着替えるの?どこで?まさか!」


「ふふ、そのまさかさ。」


 俺の答えに、朱里の表情がクルクルと変わった。
 かつて彼女が俺の奴隷として調教を受けた時、どうしても嫌がったモノがあった。
 それをあえてきょう、俺はやらせようと思ったんだが?


「まっ、俺を振った罰をしなきゃならんからな。それに、今は罰になるのかな?」
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