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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 三奈の顔に喜びと、娘への裏切りへの自責が浮かび揺れていた。


「三奈、あの娘はいづれ家を出て行くんだよ。他の家の娘と同じようにね。けど、君と俺は、ずっと一緒や。だから、裏切りやないよ。」


「ごめんなさい、ご主人様、いえ、あなた。私、自信なくて、そうよね、梨華は出て行くんだし、残るのは、私たち二人だもんね。嬉しい。」


 彼女の肩を軽く抱きながら、


「だから、心配しなくていいよ。それと、会社で俺の事が噂にでたら婚約者ですって、いえばいいよ。」


「はい、そうします。それと、あの、結婚したら会社辞めてもいいですか?」


 えっ、辞める?
 どういうこと?
 いや、違う、つまり、そういうことか!


「俺と離れたくないってことだね。つまり、一日中奴隷として一緒にいたいんだろう?」


「はいっ、でも、どうして?そうね、私のご主人様ですもんね。2ヶ月くらいはかかると思うんですけど、いいですか?」


 一瞬、辞めるなって思ったが、


「いいよ、でも、欲が深いな、三奈は。知らないぞ、後悔しても!ふふっ。」


「はいっ、嬉しい!私、これで、あなたのモノでいられる。嬉しい!」


 三奈の喜びが爆発し、俺に抱きついてきた。
 あわててブレーキを踏み、車を端に止めた。


「こらこら、危ないだろ。仕方のない女やな。ふふふ。」


 三奈の背中に手を回しながら、軽くなで回した。


「ごめんなさい、二郎さん。嬉しくて、車の中なんて忘れていたわ。」


 そう言う彼女の微笑みが、俺の心を暖かく包んだ。


「三奈、まだドキドキだよ。今日ちゃんと連絡するんやで。」


「はい、電話します。一時間でも、私だけのご主人様なんですもん。」


 三奈の言葉を聞きながら、俺は車を彼女の職場に向けた。


「あぁ、それからこれからは、もっと目立つ服装にするんだよ。お前は、もっと男達に見てもらうべきだ。いいね。」


 えっ、と驚きの声が聞こえ、暫く考えている感じがした。
 彼女の唇が動き、


「あの、それは、つまり、男の目を楽しませるってことですか?」


 三奈の質問にどう答えようか、少し悩んだか、


「それもあるけど、三奈は魅力的で美人なのに、もったいないからさ。それと、俺の奴隷だから、もっと綺麗になって欲しいからさ。」


 そう言うと、三奈の顔に喜びが広がった。
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