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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 全てが終わり、シャワーを浴びて車に乗る頃には午後の四時をまわっていた。
 会社が見えるところまでくると、


「ご主人様、もう、暫く会えないんですね?」


 恵梨香が甘える様な口調で聞いてきたが、


「あぁ、この後の顔合わせが終わったら、暫くはお互い難しいだろうね。連休が終わったら、一度会社に顔を出すから、その時じゃ、無理かなぁ?」


 俺の答えを予期していたらしく、彼女の声に残念さが籠っていた。


「そうですねぇ。ご主人様も結婚準備があるでしょうし、私も転勤の準備がありますからね。でも、、。」


 車を駐車場に止めながら、彼女の肩を優しく抱きながら、


「クリスマスが明けてからだね。ただ、その時は少ししか時間が取れないかも、知れないけどね。それより、彼氏との時間を大事にした方が良いんじゃないかな?」


 少し考える風に、目をつぶり唇を噛んでいたが、


「はい、そうですね。そろそろいきましょうか?」


 答える彼女の唇が夕日の中で、キラキラと光を放ち、俺を誘っているように感じた。
 そうっと唇を近づけると、恵梨香の瞳が閉じられ、プルんとした唇が半開きになり、軽く触れた。
 ゆっくりと唇と舌の感触を確かめながら、お互いに名残を惜しむように味わい楽しんだ。
 名残を惜しむようにユックリと唇を放し、お互いの視線が絡み付くように見つめあっていた。


「行くよ、恵梨香。」


「はいっ、いきましょ。」


 踏ん切りをつけるように、お互いに車を降り会社に向かった。
 会社に戻ると待ちかねたように、課長が俺を手招きしていた。


「課長、ただいま帰りました。顔合わせには間に合いましたかね?」


 課長がニヤリとしながら、


「あぁ、まだ時間は充分あるみたいだ。それより、美澤君が艶々してるな?まあ、構わないけどな。それと、君が出たあと社長から電話があってね。」


 社長と聞いて、朱里の結婚式に問題発生かと思ったが、素知らぬ振りをしてたずねていた。


「社長ですか?なにか、この間の事で問題でも?」


「いや、そっちじゃなくて結婚式のことなんだけどね。君が招待者のリストに入ってるんで、当日は絶対参加させるようにってね。」


「えっ、僕が?」


 やったぁと思ったが、口には出さなかった。
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