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第9章 なぜか、彼は逃げ切って生き延びる。

女島鶏魚病院医院長は、






うちの親絡みの怨恨を晴らすまで、







ネチネチ締め上げに何かしら仕掛けてきやがる！）








途方に暮れて、
黒石幸久は頭を抱え込んだ。







これからどこで何をして、旅をし、遠くへ逃れなくては、





幸久は途方に暮れ、ひたすら模索した。







タタッ、タタタタタッ







けたたましくランニングをしている足音が、







堤に座る幸久の左側と右側から










大勢の殺気立った人が、挟み撃ちを仕掛けてきたと、








幸久が察知した。








後方からはバイクのマフラーを改造した、







ドゥルッ！パルパルガル！







爆音が耳鳴りのように聞こえる。









寒さで萎縮した幸久は、







前方は…何も無い川か…！







どうせなら、賭けてみようか…と何気に見た。










朽ち果てそうな




二層の小舟が
幸久の目に見えた。








足早に殺気を帯びた連中が、







幾度も性懲りもなく幸久を追い込みにやってくる。









幸久は俯き、
反動をつけて、







堤から河川敷へバッと降り立った。








枯れた草木の中に入り込んで、








二層の小舟の一層を押し、






その後に、もう一層の小舟を川へ押した。









今どき珍しい箕の置かれた小舟が二層も、









川に流れて行った…。









枯れた草木に紛れ込んで、








幸久は息をジッと潜めた。