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偽装結婚~代理花嫁の恋~
第6章 ★Sadness~哀しみ~★
何げなくそちらを見て、由梨亜は驚愕した。いや、そんな生易しいものではなく、氷塊を背中に入れられたような寒々とした気分になった。
S物産の自動ドアが開き、数人の社員が出てくる。先頭を歩くのはまだ若い男だ。明るいグレーのスーツを颯爽と着こなした、いかにもエリート風の美男である。そのすぐ背後を秘書らしき中年の社員が歩き、更にその後に七、八人の社員が続く。歳はまちまちで年配の男もいれば、若い女子社員の姿も見られた。