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偽装結婚~代理花嫁の恋~
第6章 ★Sadness~哀しみ~★
三鷹はまだ彼の携帯を耳に当てた格好で、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる。
―ここがよく判ったわね。
思わず自分から沈黙を破ってしまう。
三鷹が含み笑いながら、応えた。
―いつか話してくれただろ。子どもの頃、ここで陽が暮れるまで遊んでて、お母さんに叱られたことがあったって。
由梨亜は言葉を失った。彼はそんな些細な話まで憶えていたのか。話した由梨亜ですら、もうとっくに話したことを忘れていたというのに。