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可愛いヒモの育て方。
第7章 露天風呂へ
――そういえば、結局麻人の電話の相手は誰だったのか。
そんな疑問が湧いてきたけれど、もちろん聞けるはずもなかった。
旅館の夕食は豪勢だった。山菜やきのこの炊き込みご飯。お刺身の盛り合わせ、カニ鍋など。お酒を飲みながらのんびりと夕食を楽しみ、皿が空く頃には、麻人に感じたもやもやとした感情は、すっかり消え失せていた。
「そういえば、二人でお酒って、あんま飲んだことなかったね」
「ですね」
たまに店の人たちとする飲み会では、お酒を飲むけれど。それだってめったにないし、二人ではない。
私の家で麻人と飲んだのは、初めて彼が私の家に来た、あの日しかない。
「今度飲もっか」
「いいっすねー。でも飲みやるなら大勢がいいなぁ。大学の友達、何人か連れてきていいっすか? 友梨香さんちに」
「ちょいちょい。私んちをたまり場にするのは勘弁して! ただでさえ狭いのに」
それでなくとも、最近麻人の私物が徐々に増えつつあって、スペースが狭くなってきている気がするのに。壁も、そこまで薄くないとはいえ、夜中までドンチャン騒ぎされては困る。いいご近所迷惑だ。
「はーい。まあ冗談ですけど」