この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
彼女の話を聞くと、月に一、二回程度の頻度でよく一人で食べに来る常連さんで、他の従業員ともたまに話す人だとわかった。藤森さんに連絡先を渡したことには驚いたけど、その客に特に悪い印象もなく、深刻には考えなかった。
「もしまたその人が来たら、教えて。すみませんけどうちの店、そういうの禁止なんですよーとか言って、断ってあげる」
「はい、ありがとうございます」
一応店長にも報告したが、それ以来その客は店に来なかった。特に変わったこともないまま一ヶ月ほど経ち、その客のことなど忘れかけていた頃。店に無言電話が来るようになったのだ。
イタズラ電話だと思っていたが、他の従業員が出た時、無言が続いた後に一度だけ、藤森さんの在籍を聞かれたという報告があった。
そして、そのすぐあと。バイトが終わり、家に帰る途中、、藤森さんは何者かに刃物を突きつけられて体を触られるという、被害にあった。
たまたま通りかかった人がいて、その男は逃げていったという。藤森さんは、体を多少触られる程度で、運良く怪我などは負わずに済んだ。すぐに警察に連絡し、数日後に犯人は捕まった。やはりその、連絡先を渡してきた常連の男だった。