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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
「楽しんどいで」
「はーい」
通話を切ろうとした時。
「……友梨香さん」
呼び止められて、再び携帯を耳へと当てる。
「ん?」
「もしまたそんな感じの電話があったら、教えてもらっていいっすか?」
「え? ああ、はいよー」
麻人の声のトーンは、心なしか低かった。教えたところで、麻人に心当たりがないんじゃ意味ないと思うけど。
そのまま通話を切り、店長室へと向かう。
麻人も心当たりがないというのを話すと、店長は首をかしげた。
「なんだそれ。あいつを探してる電話だろ?」
「さあ、私に言われても。間違い電話?」
「何を間違うんだよ。君島のドッペルゲンガーかなんかいるんじゃねーか?」
最終的によくわからないまま、電話の件はうやむやになった。ストーカーじゃないなら、私としてはなんだっていい。
電話越しの女性の声に引っかかりは覚えたものの、麻人の大学の友人か誰かがイタズラしてきただけじゃないかと、無理やり結論づけることにした。
そして深夜十二時すぎ。仕事を終えてすぐ、彩乃に連絡し、いつものファミレスまで向かった。