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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
「……さあねー」
私は伏せていた顔を上げ、努めて明るく言った。
「ぶっちゃけ、わかんないんだよ。自分の気持ちも、どうしたいのかも。あんたは、マサルのせいで恋愛に臆病になったみたいな言い方するけど、正直もう恋愛は面倒くさい。誰かを好きになって、昔みたいに男に依存して、弄ばれて、別れて、また同じように誰かを好きになって。そういうの繰り返すの、面倒くさいの。マサルの言葉は、確かに忘れられてない。ふとした時に思い出すよ。……だけどその言葉に、今の私は共感もしてる」
「あたしは、友梨香が心配なの!」
彩乃が突然、声を荒げた。私はびっくりして、ぽかんと彩乃を見つめることしかできない。
彩乃が私に対して、感情的に何かを叫ぶ姿は、ほとんど見たことがなかった。
数秒の間のあと、慌てて店内を見渡す。幸いなことに、禁煙席には、私たち以外誰もいなかった。
「心配?」
「あたしには、友梨香の行動は、ただ寂しさをまぎらわそうとしてるだけみたいに思える。ネットの男との一夜限りの遊びも、本当に性欲を満たすためだけのもの? あんたの話聞いても、少しも満足そうじゃなかったよ」