この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可愛いヒモの育て方。
第10章 目隠し
温泉旅行のあと、うちに一泊して以来、麻人はしばらく家に来なかった。
職場でも見かけない。バイトも入ってないみたいだった。そのまま二週間ほど経過した頃。
「んー、どうすっかなー」
「どうしたんですか?」
バックヤードで店長が、休み希望調査票を見てうなだれている。
「来月人足りねー」
就職や進学で、二月にバイトさんが三人辞める。新しく人も雇ったけれど、まだ一人前に仕事をこなせるほどではないし、三月は卒業式やら何やらがあるので、混む時期でもある。人手不足は否めなかった。
「船越、おまえ休みなしな」
「それ困る!」
「いいんだよ、どうせ彼氏いないんだろ? 彼氏なしな女に休みはいらないんだよ」
なんだその理屈。もう意味がわからん。
「……そういえば、君島くんも最近入ってないですね」
「ああ、なんか今月テストやらガイダンスが重なって忙しいみたいで、ずっと出れないんだと。三月は出れるらしいけど」
「へー」
温泉旅行の前は、授業はあんまりないって言ってたのに。テスト期間じゃしょうがないと思うが、逆に、ほとんど授業がないのにそんなに受けるテストがあるのか疑問が湧いた。