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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客
「帰るよ。麻人は今日閉店まで?」
「はい」
「ファーイト」
「……なんか言い方うざいっす」
むくれる姿につい笑みが零れる。
麻人は真顔になって、聞いてきた。
「友梨香さん疲れてます? 今日……行っていいっすか?」
「お好きにどーぞ」
素っ気ないふうを装いながら、内心ドキリとしていた。好きだと気付いてから、仕事で組むとやりづらい。どんな顔で接したらいいか、時々わからなくなる。
「じゃあ、多分一時くらいに行きます」
「はいよー」
帰りの足取りは軽かった。我ながら、現金だなぁとは思うけれど。
私が住むアパートの前に行くと、見覚えのある車があった。アパートの脇に、横付けして停めてある。
自分の駐車スペースに駐車し、私はその車の運転席の窓を、軽く二回ノックした。運転席に気付いた女性は、最初驚いたように顔を上げた。すぐにその口元が、笑みの形に歪む。
やっぱり。予想通りの人物だった。
運転席のドアが開き、車から出てきたのは彩乃だった。
「久しぶり。お仕事お疲れ様」
「ありがとう。てか、全然久しぶりでもないけどね」