この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可愛いヒモの育て方。
第12章 来客
「友梨香は手伝わないの?」
「え?」
「えじゃなくて。麻人くんに料理させて座って待ってるって、ずいぶんといいご身分じゃないの」
「……手伝ったことないし」
「手伝ってきなさいよ、ほら。なんなら教わったら? 友梨香もいい年なんだから、料理くらいできないと結婚できないわよ?」
ついだばかりの焼酎を取り上げられ、彩乃に顎をしゃくって促される。ぐさり。今の一言は結構きた、ダメージ。
私はしぶしぶと、席を立った。部屋から出て麻人のところへ行く。
「何か……手伝おうか?」
「……は!?」
冷蔵庫に食材をしまっていた麻人は、ぎょっとしたように振り向いた。ゾンビでも見つけたような驚きっぷりに、私の方が驚いてしまう。
「ああ、彩乃さんいるからっすか?」
「うんまあ」
「びっくりした。明日は雹(ひょう)でも降るのかと」
「……私がキッチンに立つの、そんな珍しいか」
雪すらほとんど降らない地域なのに、雹って。
「はい。珍獣なみに珍しい」
「おい。何したらいい?」
「じゃあ、野菜切ってください」
「はーい」