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かわいい狼くん
第14章 別れと出会い
勢いよく入ってきたのはナースだった
彼女は俺を見るなり叫んだ
「妹さんのっ…妹さんの意識が戻ったわ!」
ガタッ…!
春樹は待合室を飛び出した
瑠璃っ…瑠璃…!
バンッ!
ドアを開けると…
そこに居たのは身体中は傷だらけ
制服にはベッタリと赤い染みがついた彼女だった…
酸素マスクをし、
苦しそうに呼吸をしている
春樹が部屋に入ると
ドクター達は全員部屋から出た…
最後の1人が春樹に声をかけた
「もう…彼女は……
ずっと君の名前を呼んでいた。
2人で居るといい。」
春樹は震える手でそっと瑠璃の手を握った…
「瑠璃っ…?」
『お…にぃ…ちゃ……』
「痛いか…?」
『へ…き……だよ…
女の子…は…』
「元気だよ…お前が助けたんだろ?
えらいな…瑠璃」
『よかっ…
ね…、キス…して…?』
「っ…バカ!家に帰ってからな?
早く治して帰ってこい…!」
瑠璃は泣きそうになり
弱々しく春樹の手を握り返す
『いま…じゃ、な…きゃ……やだ』
春樹は一度ギュッと目を瞑り、
瑠璃に目をやる
ゆっくりと酸素マスクを取り
2人の唇が重なった…
瑠璃の頬が濡れる…
春樹は震える唇を何度も何度も
優しく押し付けた
そして…
サイドから耳につくような音が鳴り響く…
「っ…!」
春樹はそっと唇を離し
苦しみも取れ安心したように目を閉じた
瑠璃の頬を指でなぞった…
「愛してるっ……!瑠璃…ー」