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第1章 うちの執事は完璧です。

「お嬢様、お時間でございます。お起きになられてください。」


爽やかな朝に似つかわしい、心地よいテノールの声は私の毎日の目覚まし時計だ。


「あと少し....大丈夫でしょう...？」

「申し訳ございません。お嬢様がいつもそう仰られますので今日はギリギリの時間でございます。」

「えっ！？」


時計を見ると7:30。

いくら8:30始業の高校といえどもギリギリだ。


「そんなぁぁああ」

「大変申し訳ございません。すぐに御準備を」


私の執事──紫吹翔は本当にすぐに準備を整えた。


私──雨宮知弦が洗顔やお手洗いを済ませている間に朝食、制服、カバン等をすべて用意した。


「失礼致します。」


目隠しをした紫吹は見事な手つきで私の寝間着を脱がせ、制服を着せた。

もちろん私の肌に触れることなく。


その後朝食を済ませた私は歯磨きをして、身だしなみを整えて紫吹の運転する車で学校へ向かった。