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~散花~
第10章  ご検分

「なんです?」

苛ついたように女官長が振り返る。

「申し訳ありません。しかしながら、しばしお時間を頂戴いたしたいのでございます。皇太后さまに失礼とならぬよう、下の口を漱ぎとうございますゆえ…」

乙女が顔を赤らめてうつむいた。

女官長は座敷全体を見回し、

「他にも、禊に参りたい者はいるのか」

互いの顔を窺いつつ、15人ほどが遠慮がちに手を挙げた。

玉蘭は、朝と昼の禊を毎日欠かしたことがない。今朝も、玲利にしっかりチェックしてもらった。だから手を挙げなかった。

「よくわかった」

女官長が大仰にうなずいた。。

「では今すぐ、水場へ行き禊を始めなさい。慌てずともよい。粗相のないよう、しっかりと漱いでくるのです」




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