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~散花~
第14章 前夜

「あなたが玉蘭さんですかな」
「は、はい。すみません、わたし…先生がなかなかいらっしゃらなかったので、わたしが場所を間違えたのかと…それで探しに…」
女官長がいたら「はしたない」と叱られそうな勢いで、玉蘭はまくしたてた。
典医が苦笑する。
「そうでしたか、それは失礼した。実は俄に不調を訴えた女官がおり、その局へ呼び出されておってな。待たせてしもうて、申し訳ない」
お爺ちゃん先生に頭を下げられ、玉蘭はあわてて両手をついた。
「滅相もございません。わたしが、お越しをお待ちしているべきでした」
「ではさっそく、診察を始めましょうかの」
「はい、よろしくお願いします」
どうぞこちらへと促され、玉蘭は畳を四枚重ねた寝床に横たわった。

