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~散花~
第1章 身体診
身仕舞いもそこそこに、玉蘭は、ふらふらと歩廊を進み門へと向かった。
放心状態が続いていた。
(いったい、なんだったのだろう…)
門を出たところで、声をかけられた。
「玉蘭ちゃん? 玉蘭ちゃんも来てたのね」
楽しそうに、幼なじみの桃々(トウトウ)がすりよってくる。
「あたしもさっき診てもらったの。健康そのもの、て言われたよ。お互い、いい勤め口に推薦してもらえるといいねっ♪」
あっけらかんとした笑顔に、玉蘭は面食らった。
「ね、ねぇ…桃々ちゃんは、痛くなかったの?」
「痛い? ううん、どこも。玉蘭ちゃんはどこか痛かったの? もしかして、どこか悪いって?」
桃々の顔色が心配そうに曇った。
「ううん、違うの。大丈夫、なんでもない」
慌てて打ち消し、「じゃあまた明日ね」と別れを告げた。
家路を急ぐ。
今日のこと、なんて親に伝えよう…。
そんな思案を巡らせながら。
1章 完