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~散花~
第20章 再起
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あの長い指が懐かしい。
あの優しい愛撫が恋しくてたまらない。
(会いたいなぁ……)
玉蘭は、土間の隅に放置していた風呂敷包みに手を伸ばした。
玲利からもらった秘薬の小瓶。
(これを盗られなくてよかった)
蓋を開けると、部屋いっぱいに甘い香りが広がった。
それだけで玉蘭は、もうこのまま絶えてもいいと思えた。
それは悟りに近い境地だった。
(そうだ、どうせわたしは死ぬんだ)
だとしたら――
目の前にまとわりついて離れなかった靄が、いっきに晴れていくようだった。
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