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~散花~
第21章 決死行…?
(きゃっ…!)
下方から詰問された拍子にバランスを崩し、玉蘭は塀にしがみついた。
万事休す。
「さっさと降りてこい。衛士を呼ぶぞ」
暗がりの中の人影が、ぶっきらぼうに忠告してくる。
衛士を呼ぶ――ということは、この人は衛士ではないのか。
「どうかお見逃しくださいませ。わたしはどうしても外へ出たいのです」
「外…だと? 手形はないのか」
「……ございません…」
「手形もなしに内廷から出るは禁則だぞ。脱走する気か」
「…………」
塀にしがみつく手が痺れてきた。