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~散花~
第33章  覚悟

「失礼いたします」

女が寝所に入ってきた。

玉蘭は顔を枕に埋めたまま、声の主を確かめようともしなかった。

どうせまた、どこかの女官が御付きにしてくれと頼みにきたのだろう。

「白虎殿より遣わされました」

(白虎殿?)

なんだっけ。

どこかで聞いたことがあるような…。

「このたび、第一夫人さま付きの内侍を仰せつかり参上いたしました」

「え…?」

仰せ付けた覚えはないけれど?

玉蘭は片目を開けて女を見た。

地味な鈍色の女官服。黒髪を高く一つに束ね上げ、化粧は唇の薄紅のみ。

ほんの一瞬、目を離したすきに消えてしまいそうな霞のような女人だ。

「こちらでは“加蓮”とお呼びくださいませ」




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