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~散花~
第33章 覚悟
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どれくらいそうしていただろう。
ようやく玉蘭は秀瑛の手から解放された。膝から下ろされ、秀瑛の隣りに端座する。
呼吸は落ち着いていた。
けれど代わりに涙があふれた。
秀瑛が涼しい顔で拭ってくれる。人を殺したばかりの手で…。
玉蘭は目をそむけた。
「仕方ないだろ。俺がここに出入りしていることを、他の者に知られるわけにはいかないんだから」
「でも…だからって…なにも殺さなくても…」
「この女の目を見たろ? これはダメだ。口が軽い。秘密を守れない」
何の迷いも情けもない表情で死体を見下ろす。
そこまでして守りたい秘密…。
(その秘密にわたしもかかわることになるのか)
いや、既に。
(たぶんわたしは、もう伏魔殿の泥沼に片足を突っ込んでいる)
玉蘭は拳を握りしめた。
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