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~散花~
第35章  初夜

「これは琳夫人さま。お待ち申し上げておりました。このたびはまことにおめでとう存じます」

迷路のような歩廊を奥へ奥へと進んだ先に通されたのは北向きの広間で、貫禄ある初老の女性が待ち構えていた。

「わたくしは、鳳凰殿付きの尚侍でございます。これより琳夫人さまには、御寝所へお渡りになる前のお支度をこちらで調えていただきます。わたくし共がお手伝いいたしますので、ご承知くださいませ」

尚侍の言葉に、壁際にずらりと居並ぶ女官がいっせいに頭を下げた。

皆、かすかに眉根を寄せ頬を引き締めている。いかにもプライドが高そうだ。




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