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~散花~
第35章 初夜
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耳の裏から足指の間まで、全身に香薬を塗られる。
顔には乳液、油薬、咳き込むほどに白粉をはたかれ、頬と口に紅をさされる。
黒髪は若々しい流行りの髻に結い、かんざし代わりに撫子を一輪、控えめに挿してもらった。
手際のよい流れ作業のように次から次へと処置され、最後に、糊のきいた羅衣に袖を通した。
女官が姿見をあてがってくれる。
(……………………)
化粧が濃すぎて、自分ではないような面映ゆさを感じた。
けれど、まっさらな薄物の衣は、いよいよ間近にせまった初夜への期待をふくらませ、玉蘭は頬をゆるめた。
心がうきうきしていた。
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