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第41章 　苦悩

芙蓉は顔をあげた。

｢そうね、朱佳の言う通りだわ｣

立ち上がり、身に付けていた上衣を脱ぐ。

｢散歩に行きましょう｣

朱佳の笑顔が輝いた。

芙蓉は、胸のあいた涼しげな薄物に着替えた。

頬と唇に官能的な紅をさす。

うなじに後れ毛を垂らした。

なんとなく、心が浮き立ってきた。






囿苑への近道に、かつての住まいの前を通った。

なにげなく見やると、ひと気の薄い南殿の門扉はぴたりと閉ざされていた。





　　　　　41章 完