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~散花~
第49章 終章
晴天吉日のこの日、
朱雀殿の前庭で立太子の礼が執り行われた。
勅使が宣明を読み上げ、長官が寿詞を朗唱する。
神器の授与を経て、晴れて儲君は正式に皇太子となった。
鳳凰殿に次ぐ壮麗さを誇る朱雀殿を、玉蘭は万感の思いで見上げた。
入母屋造りの大屋根に緑の瓦、朱塗りの円柱、石段と基壇は磨きこまれた花崗岩を使っている。
未来の皇帝となるべき者が住まうことを許された御殿である。
「東宮さま。今日からここがあなた様のお住まいですよ」
玉蘭は腕の中の我が子にささやいた。
今日で1才の誕生日を迎えた幼な子は、儀式に疲れて眠ってしまっていた。