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執事とお嬢様の禁断の模様
第4章 更なる山道

「じゃあ、成功したんだ!よかった~!」

「うんっ♪」



 お昼休みにいつもの個室で沙耶香に報告したら、
沙耶香は自分のことのように喜んでくれた。

 ちょっとお行儀は悪いけど早く話したかったので、
少し急ぎながらお弁当を食べてから、色々と話をした。



「う~んそっかぁ~妃奈浬ってすごく大胆なんだね。裸のまま抱きついちゃうなんて!」


 すごく嬉しそうに顔を赤らめる沙耶香。

 そのときのことを思い出し、顔が一気に熱くなる。


「んん~…でもそのときはつい勢いで…だから、
それほど恥ずかしくはなかったなぁ…そのときはね。
思い出してみるともうなんで私あんなことできたんだろうって、不思議で不思議で……」


 目を伏せて、自分の頬を両手で押さえる私。


 秀一本当はあのとき、呆れてたんじゃ…?

 とか色々と想像してしまう。

 また顔が熱くなってきた…


「わかるわかる~。なんか思い出すほうが恥ずかしいよね~」


 うんうんとうなずいて苦笑いする沙耶香。


「うん、恥ずかしいけど、結果的によかったと思うから…いいかなって」

「いいと思うよ?妃奈浬が思う方向に行けばいいよ」

「そうだね」


 沙耶香に笑いかける私。

 また沙耶香も、私に笑いかけた。


「いつもありがとう、沙耶香…私これからも、頑張ってみるね」

「うん」


 沙耶香はふふっと笑う。


「…妃奈浬も、その調子なら大丈夫みたいだね」

「え?」


 妙に涼やかな顔で話し出した沙耶香。

 少し、違和感を感じる。


「私…妃奈浬と浅葱さんには幸せになって欲しいから…。
だから、これからも応援してるから。私の分も、頑張って。ね?」


 沙耶香は私に優しく微笑んだ。


「えっ…」


 待って、私の分も…?


「待って、沙耶香。私の分もって…なに?」

「うん……」



 沙耶香は少し困ったように笑った。


 まさか…


「まさか…孝博さんのこと、諦めるの?」
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