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能天気B型のアタシが美少年と……
第5章 おきくむしの章
いつのまにか
夏が来て
その夏もどっかいってた。

盆地ではだらだらと
残暑が続いてたよ。

アタシは日焼けして顔がいーかんじだよ。
海水浴とかは行かなかったけどね。

もう何歳か若いころは出かけたりもしたけど
今は会社がお盆休みになっても遠出する気に、ならん。
アタシの所は海無し県だし
山ならたっぷりあるけど真夏に出かける気に、ならん。

9月に入っても、アンニュイな夏の雰囲気をひきずってて
仕事あがりにOちゃんの所に寄って
そのままお風呂借りて泊まって
そんで翌朝一緒に出勤する事もあった。

Oちゃんは部屋のベランダでいろいろ草花育ててる。
今は風船カズラとかいうのがお気に入りらしいよ。

「秋には枯れちゃうけど
面白い実がなるんだよ」

「ふーん。おお、風船がなってるぞう?」

形はほおずきみたいだけど
色は普通の草の色だ。

ぷっくり膨れたのがなってて、触るとプニプニしてる。
指先にちょっと力をいれると、ポンっと弾けた。

「うおぉ!?こりゃ気持ちよいぞ」

家電とか果物とかの箱に入ってるビニールのぷちぷちに、似た感触だ。
アレをつぶすのと同じ気持ちよさだよ。
最近はぷちビニールもあまり見かけなくなったね。
もっと大きい空気袋とか、発泡スチロールが多い。

「あんまりつぶしたらダメだよー」

とたしなめながら
Oちゃんはアタシがプチッとやったのを、もいで中身を取り出した。

「ほら、中がハートなんだよ」

「ふーん……面白いな」

中の実がちっちゃいハート型になってる。
ツタ植物の分際で、なかなか凝った芸の持ち主だよ。

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