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Usagi―season1 ~兄~
第15章 ~兄からの手紙~

私はタクシーに乗り
ママから渡された封筒を
バッグに入れようとした
心配性のママからの餞別…
バッグを開けると
1枚の白い封筒
何も書かれていない
白い封筒
…お兄ちゃんだ…
胸を高鳴らせ
丁寧に封を切る
シワだらけの一万円札が2枚
そして…
懐かしい兄の文字
初めての
兄からの手紙…
丁寧に畳まれた
白い便箋を開いて目を通す
何度も…
何度も…目を通す
兄の想いが
溢れた手紙
兄の決意が
しめされた手紙
私を想い
書いてくれた手紙
あちこちに
涙の痕で滲んだ文字
私の涙がまた…
兄の文字を滲ませる
兄の手紙は私の宝物
私のお守り
私は兄の手紙を
バッグにしまい
窓の外を眺めながら
泣いた…
お兄ちゃん
本当に
私を愛してくれて
…ありがとう…
そして
本当に
…さようなら…

