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第15章 第一部第三話【戀月桜～こいつきざくら～】　すれ違い

「土佐屋は何分、顔が広いらしい。三十年前に土佐から江戸に出てきたちゅう話じゃが、方々に賄賂を送って色んな方面につてを持ってるいう話じゃ。そんで、つてを頼って始めたのが密輸じゃった」
「密輸！？」
　話があまりに飛躍しすぎて、一瞬、小紅は我を忘れた。龍馬がシィっと唇に指を当てる。
「声が高い。気ィつけや」
「ごめんなさい」