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第16章 【戀月桜～つきこいざくら～】決着～安政六年四月五日宗徳寺　

　そう、小紅は知らない。龍馬の言うとおりだった。小紅の一途に栄佐を想う心、無事を願う心が龍馬を動かしたのだということを。
　三人はゆっくりと歩いて、宗徳寺を出た。元来た道を戻ってゆくと、直に松平さまのお屋敷の前に出る。
　和泉橋のたもとには、しだれ桜がひっそりと佇んでいる。月光が音もなくさらさらと流れる水面を煌めかせ、薄紅色の花びらを浮かべて流れて輝く水面は光の糸で織りなした美しい布のようにも見える。