パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第19章 第二部・第四話【悲願花～女になった男～】　異変

　こんなうらぶれた安長屋に暮らすのは大抵がその日暮らしの貧しい人間だと相場が決まっている。ゆえに、数ヶ月分の店賃が滞ることは珍しくない。しかし、差配はその程度で文句を言うような男ではない。元々、この長屋の持ち主である大家が廻船問屋の隠居で、金儲けは若い頃にするだけしてしたこま稼いだから、後は施しでもして余生を送ろうかというような鷹揚な老人だ。
　長屋の住人も皆、気心が知れていて、互いにその日暮らしながら、困ったときには相身助け合いで日々を暮らしている。