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第19章 第二部・第四話【悲願花～女になった男～】　異変

　小紅は内職で仕立物をしている。そもそも京屋の主人だった市兵衛と縁ができたのも、京屋から頼まれた仕立物を納めさせて貰っているからだった。
　もっとも、そのときの主人市兵衛は既に江戸にはいない。上方の親戚筋の店の主人となり、そこの出戻り娘と所帯を持っている。風の便りでは六月に祝言を挙げた元市兵衛―今は元の徳太郎に戻っているが―の女房は既に彼の初子を懐妊しているということだ。