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第20章 第二部・第四話【悲願花～女になった男～】　定命　　

　浪人もまた小紅から視線を逸らすことなく対峙する。この気迫、ただものではない。もしやこの浪人はかなりの遣い手なのかもしれない。剣術のことなど何一つ知らぬ小紅だが、何故か、男から放たれる殺気の凄まじさにそんなことを思った。
「お武家さまのお気の済むように、何なりと致します。どうぞ仰せになって下さいませ」
　二人の周囲には次第に人の輪ができはじめている。物見高い野次馬が何事かと高みの見物を決め込んでいるのだ。