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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  
 愛しい、俺だけの小鳥を他の誰にも見せず触れさせず、鳥籠に閉じ込めて、日毎夜毎、俺だけのために囀らせ、その愛らしい歌声にずっと耳を傾けていたい。それこそが、俺の願いなのではないだろうか。
 馬鹿な、栄佐はゆるゆると首を振る。
 小紅を想う気持ちは誰にも止められるものではないが、それだけで小紅の一生を自分に縛り付ける理由にはならない。小紅が栄佐以外の誰かと生きる道を選んだならば、自分はたとえ血の涙を呑んでも潔く小紅の前から去らねばならない。
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