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第20章 第二部・第四話【悲願花～女になった男～】　定命　　

「どうにかならないの、栄佐さん」
　最後の期待を込めて訊ねても、彼は気難しげな表情でゆっくりと首を振った。
「おきみさんには申し訳ねえが、施す手がもうねえんだ。俺も考えて、できるだけのことはやった。脚の膝小僧辺りに下痢を止める箇所があるから、そこにも針は打ったんだが」
　栄佐の表情はどこまでも静かだった。逆に、その静かさがもう本当に手はないのだと告げているようで、小紅の中で絶望がゆっくりとひろがっていった。