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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆
 その時、医者として治療に当たった栄佐の助けをして、小紅も徹夜で看病をしたことがある。そんなある夜の一瞬、栄佐が小紅に今のように手を触れ、首筋に口づけたことがあった。あのときにはまだ確かに小紅は栄佐に怯えていた。
 突然、豹変したように熱っぽい眼で自分を見つめ、身体中に触れてくる男を怖いと思った。なのに、ひと月経っただけなのに、今のこの変化は何なのだろう。
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